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成年後見人制度

■成年後見人制度
成年後見制度は精神上の障害 (知的障害、精神障害、痴呆など)により判断能力が十分でない方が不利益を被らないように 家庭裁判所に申立てをして、その方を援助してくれる人を付けてもらう制度です。
たとえば、一人暮らしの老人が悪質な訪問販売員に騙されて高額な商品を買わされてしまうなどといったことを最近よく耳にしますが、こういった場合も成年後見制度を上手に利用することによって被害を防ぐことができる場合があります。また、成年後見制度は精神上の障害により判断能力が十分でない方の保護を図りつつ自己決定権の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション(障害のある人も家庭や地域で通常の生活をすることができるような社会を作るという理念)の理念をその趣旨としています。よって、仮に成年後見人が選任されてもスーパーでお肉やお魚を買ったり、お店で洋服や靴を買ったりするような日常生活に必要は範囲の行為は本人が自由にすることができます。

■成年後見人の利用実態
平成24年における成年後見関係事件の申立件数は合計で約3万500件、同年末時点の成年後見制度の利用者は約16万6000人にのぼり、ここ数年は毎年1万人以上のペースで増加しています。
日本は超高齢化社会に突入しているため、今後も利用者数の増加が見込まれます。男女別割合は、男性が約4割、女性が約6割となっており、男女とも80歳以上の利用者が最も多く、65歳以上の利用者は、男性では男性全体の6割以上、女性では女性全体の8割以上を占めています。

■成年後見登記制度
成年後見登記制度は、法定後見制度と任意後見制度の利用の内容、成年後見人の権限や任意後見契約の内容などをコンピューターシステムにより法務局で登記して、登記官が登記事項証明書を発行して情報を適正に開示することによって、判断能力の衰えた方との取引の安全を確保するための制度です。以前は戸籍に記載されていましたが、プライバシーの保護や成年後見制度の使い勝手を考慮して成年後見登記制度が新たに作られました。本人や成年後見人から請求があれば法務局から登記事項証明書が発行され、これを相手方に示すことによって安全で円滑な取引ができることになります。

■法定後見制度とその種類
成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度からなり、法定後見制度はさらに後見、保佐、補助の3つに分けることができます。任意後見制度は本人の判断能力が衰える前から利用できますが、法定後見は判断能力が衰えた後でないと利用できません

【後見】
ほとんど判断出来ない人を対象としています。
精神上の障害(知的障害、精神障害、痴呆など)によって判断能力を欠く常況にある者を保護します。大体、常に自分で判断して法律行為をすることはできないという場合です。
家庭裁判所は本人のために成年後見人を選任し、成年後見人は本人の財産に関するすべての法律行為を本人に代わって行うことができます。
また、成年後見人または本人は、本人が自ら行った法律行為に関しては日常行為に関するものを除いて取り消すことができます。

【保佐】
判断能力が著しく不十分な人を対象としています。
精神上の障害(知的障害、精神障害、痴呆など)によって判断能力が特に不十分 な者を保護します。簡単なことであれば自分で判断できるが、法律で定められた一定の重要な事項については援助してもらわないとできないという場合です。
家庭裁判所は本人のために保佐人を選任し、さらに、保佐人に対して当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権を与えることができます。 また、保佐人または本人は本人が自ら行った重要な法律行為に関しては取り消すことができます。

【補助】
判断能力が不十分な人を対象としています。
精神上の障害(知的障害、精神障害、痴呆など)によって判断能力が不十分な者を保護します。大体のことは自分で判断できるが、難しい事項については援助をしてもらわないとできないという場合です。
家庭裁判所は本人のために補助人を選任し、補助人には当事者が申し立てた特定の法律行為について代理権または同意権(取消権)を与えることができます。


種類 後見 保佐 補助
対象になる人 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者
対象の要否 原則として必要 原則として診断書等で可
申立人 本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長など
※本人の子もしくは兄弟姉妹からの申立てが全体の約5割
申立時の本人の同意 不要 必要
同意(取消)権の範囲 日常生活に関する行為以外の行為 民法13条1項に定める行為 民法13条1項に定める行為の一部 ※本人の同意が必要
代理権の範囲 財産に関する法律行為についての包括的な代理権と財産管理権 申立ての範囲内で、家庭裁判所が定める特定の法律行為
※本人の同意が必要

【同意権】
本人の行為に成年後見人等が同意することにより、法律的に効果が認められることになり、同意を得ないでした契約は取り消すことができます。

【代理権】
本人に代わって契約などの行為を成年後見人等がする権限をいいます。成年後見人等がした行為は、本人がした行為として扱われます。

■成年後見人選定の手順
成年後見人を誰に頼むかというのは大きな判断になります。
成年後見人を選定するには次の手順となります。

1. 家庭裁判所への申し立て 費用は1万円前後~2万円程度
<必要書類>
申立書(定型の書式が家庭裁判所に行けば無料でもらえます)
申立人の戸籍謄本1通(本人以外が申し立てるとき)
本人の戸籍謄本、戸籍の附票、登記事項証明書、診断書各1通
成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書各1通
申立書付票
本人に関する報告書

2 家庭裁判所の調査官による事実の調査
申立人、本人、成年後見人(保佐人、補助人)候補者が家庭裁判所に呼ばれて事情を聞かれます

3 精神鑑定 ※鑑定費用は5~10万円
実際に精神鑑定がおこなわれるのは稀で、申立て全体の約1割に過ぎません

4 審判
申立書に記載した成年後見人(保佐人、補助人)候補者がそのまま選任されることが多いですが、場合によっては家庭裁判所の判断によって弁護士や司法書士等が選任されることもあります

5 審判の告知と通知
裁判所から審判書謄本をもらいます

6 法定後見開始 ※法務局にその旨が登記されます
成年後見人の仕事には、大きく分けて財産管理と身上監護の2つがありますが、ここでいう身上監護には、現実の介護行為は含まれません。
また、食料品や衣料品等を購入するような日常生活に関する行為については、本人が自由におこなうことができます。
なお、本人の居住用不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要となります。ここでいう「処分」は売買だけでなく、賃貸や抵当権の設定等の行為も含まれます。

■成年後見人になった時にやるべきこと
1.本人および関係者との面談
今後の後見事務を遂行していくために、被後見人およびその関係者と面談します。
2 財産関係の書類や印鑑の引渡し
現金、通帳、有価証券、不動産権利証、実印、銀行印、印鑑登録カード等をそれまで管理していた人から受け取ります。
3 銀行、保険会社等への届出
書類や印鑑等の引渡しだけでなく、直接、銀行や保険会社等に成年後見人の就任を届け出ます。
4 登記事項証明書の入手
成年後見人であることを証明するために、法務局で発行してもらいます。
5 財産目録の作成
被後見人の財産を調査し、1ヶ月以内に財産目録を作成し、裁判所に提出します。
6 年間支出額の予定
1年間に支出する金額を予定し、収入とのバランスを明らかにします。

さらに家庭裁判所は、必要があればいつでも成年後見人に対し、報告を求めることができますが、実務上は年に1回程度の報告が必要になります。 ただし、本人の居住場所が在宅から施設に変わったり、入居先の施設を移る等して、本人の生活環境に変化があった場合や、 重要な財産を処分した場合は、その都度、家庭裁判所へ報告する必要があります。 なお、家庭裁判所からの指示に従わずに、定期的な報告を怠ると、家庭裁判所が成年後見人を解任することがあります。

■成年後見人を誰に頼むか
成年後見制度が始まった当初は、本人の親族が成年後見人に就任することがほとんどでしたが、 平成24年には親族以外の第三者が成年後見人に選任される件数が全体の約52%となり、制度開始以来、初めて第三者後見人の割合が親族後見人を超えました。
この傾向は今後も続くと予想されるため、第三者後見人の確保が急務となっています。

専門職後見人(第三者後見人)とは、司法書士や弁護士、社会福祉士等の専門家が後見人になることをいいます。もし、本人の近い親族が高齢や病気などで、後見人になれる適当な人材がみつからない場合は、専門職後見人という選択を積極的に検討してみるのがよいでしょう。
なお、子供や兄弟姉妹が後見人になった場合、報酬を請求しないことも多いですが、司法書士等の専門職が後見人になると、さすがに無報酬というわけにはいきませんので、本人の資産の中から報酬を支払う必要があります。
ただし、金額については後見人が勝手に決めることはできず、裁判所が本人の資産額や後見人の業務量に応じて決定し、一月当たり2~3万円が平均です。

■後見制度のメリットとデメリット
後見人がいれば安全に財産、判断が行われるでしょうか?
成年後見制度がスタートした当初は、本人の親族が後見人になるケースがほとんどでした。本人の一番近くにいる親族がそのまま後見人なることにはメリットもありますが、デメリットもあります。
そのデメリットの一つが、後見人による本人の財産の使い込みです。本来、後見人は本人の財産を維持・管理しなければならない立場ですが、後見人自身の経済状況の悪化や、成年後見制度における裁判所の監督や、行政や地域社会の支援体制が脆弱である等が理由で、近年は親族後見人による不正行為が数多く発覚するようになりました。
最高裁判所の調べによると、平成23年~平成24年の2年間で、900件以上の被害が判明し、その被害総額は80億円を超えるとのことです。単純に計算しても、毎日1100万円以上の被害が発生していることになります。後見人によって財産が横領されると、本人が被害を受けるだけではなく、成年後見制度自体の信用がなくなってしまいます。そこで、この問題を解決するために、最高裁判所が中心となって、日本司法書士会連合会等の関係機関と協議を重ねた結果、平成24年から後見制度支援信託という制度が開始されました。

後見制度支援信託は、本人が日常生活で使用する分を除いた金銭を、信託銀行等に信託することで、後見人による本人の財産の横領を防ぐ制度です。これにより、信託財産を払い戻したり、信託契約を解約したりするには、家庭裁判所の指示書が必要になり、後見人が勝手に払い戻しや解約をすることができなくなります。なお、信託財産は元本が保証され、預金保険制度の保護対象になりますが、信託することができる財産は金銭に限られるので、不動産等を信託することはできません。また、信託銀行のほとんどが最低1000万円からの利用を前提にしているので、実際には本人に1000万円以上の預貯金がある場合が対象となります。

この制度を利用する場合には、専門職後見人が必要になります。親族後見人と併せて選任する場合もあります。本人の生活状況や財産状況等を総合的に考慮した上で、後見制度支援信託を利用すべきかどうかを専門職後見人が判断を行い、専門職後見人が利用すべきと判断した場合は、家庭裁判所に報告書を提出します。その後、専門職後見人は、家庭裁判所から発行された指示書を信託銀行等に提出して信託契約を締結します。
本人が死亡するなど専門職後見人が関与する必要性がなくなれば、専門職後見人は辞任し、管理していた財産を親族後見人に引き継ぎます

■市民後見人
成年後見人は、親族や、専門職後見人を選ぶことが多いのですが、近年では市民後見人という制度があります。
認知症高齢者や一人暮らし高齢者の増加に伴い、成年後見制度の必要性は一層高まってきており、その需要はさらに増大することが見込まれている背景では専門後見人だけでは後見人の数が足りないと推計されています。したがって、こうした成年後見制度の諸課題に対応するためには、弁護士などの専門職後見人がその役割を担うだけでなく、専門職後見人以外の市民後見人を中心とした支援体制を構築する必要があり、このため、認知症の人の福祉を増進する観点から、市町村(特別区を含む。)において市民後見人を確保できる体制を整備・強化し、地域における市民後見人の活動を推進する事業として全国的に自治体が推進しています。

具体的に自治体が育成した後見人であり、後見人になるための教育をうけた一般の市民の方をいいます。例えば、看護師や、介護士などの慣れ親しんだ方の中でこの市民後見人の教育を受けられている方がいるかもしれません。NPOやボランティア団体で安価または無償にて市民後見人として活動していただける方も少しずつ増えてきております。

【自治体の支援内容】
(1)市民後見人研修の実施
(2)後見等の業務を適正に行うことができる者の家庭裁判所への推薦
(3)その他必要な措置
例えば、研修を修了した者を登録する名簿の作成や、市町村長が推薦した後見人等を支援することなどの措置が考えられる
※都道府県は、市町村の措置の実施に関し助言その他の援助を行うよう努めるものとすること。










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