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TOP認知症の実態 ~インタビュー~ > たかせクリニック 髙瀬義昌理事長

たかせクリニックの髙瀬義昌理事長に認知症についてお話を伺いました。
たかせクリニックは認知症の患者様だけでなく、その家族のサポートを重視する在宅医療メインのクリニックです。


認知症になりやすい方というのはいらっしゃるのでしょうか?

まず、認知症を発症する病気は70種類くらいあると言われています。そして早期発見と早期予防が大切で、少しでも早く見つけることがその後の進行に大きく影響してきます。
もし認知症の疑いがあると分かっても、偏見を持つのではなく、一緒に暮らしていくために周囲とご本人が認知症への理解を深めることはもちろんのこと、これからは認知症の人と暮らしていく地域づくりといった観点も必要になってくるでしょう。



認知症は治るのでしょうか?

私たちがケアをしたケースでお話しすると、問題行動が多く病院を追い出されるように自宅療養となった人で、寝たきりだった患者さんは、トイレ以外の家のあちこちで排便や放尿をしていたのに、今では一人で歩けるようになり、買い物にも一人で行けるようになりました。

他にも、ご主人が認知症で在宅介護をしていた奥さんのケースでは、私たちが診療して、劇的に回復されました。
それまでそのご主人は、徘徊や夜眠れずにベッドをコツコツ叩き続けたり、一晩中奥さんのことを呼んでいたりと日常生活もままならない状態でした。
奥さんの背中を殴り骨折させてしまったこともあり、奥さんはいつでも外に出られるよう5年間パジャマで就寝したことはなかったそうです。

ですから、とても喜んでいただけましたね。このケースでは私たちが診療して、わずか1日で劇的な変化が現れました。
診療翌日のメモにはこう記してあります。

『夕方より新しい内服薬開始される。スムーズにベッドに入り、朝8時まで眠られる。途中覚醒もなく、睡眠剤の使用もなく朝まで眠られる。朝もふらつくこともなく、デイサービスへ出かけられた。以前はベッドに入るにも拒否されることがあり苦労したが薬が減り、夕方1回飲むだけでよくなった。』

これらの事例に象徴されるように、認知症は早期発見や適切なケアをすることで症状がよくなることもあるのです。

肌感覚では認知症治療の黄金律2:8と言えます。これは認知症ケアが8割で薬が2割が適切なバランスで、ケアのポイントは認知症患者さんのことを徹底的に理解してあげることです。
もちろん、そのために認知症について勉強することは相当量必要になりますが、認知症への理解を深めることは結果的に患者さんにも介護をするご家族にとってもお互いの負担が減ることにもつながるのです。



認知症の治療には高額の医療費がかかるのでしょうか?

往診で1割負担なら月額5000円から7000円。処方されるお薬代込みで月額1万円くらい。
ただ、認知症で認知機能が低下すると注意機能も低下するので、ちょっとした布団や座布団の縁につまづいて転倒し、骨折をしてしまうケースがよくあるんです。

特に女性で高齢の認知症患者さんが認知症になると、男性よりも日常の些細な段差で転んでしまいますから骨折しないように注意深く見守らないと危険ですね。
認知症患者さんが骨折すると、そもそも診療してもらえる病院を見つけるのが大変ですし、医療費も1日当たり実費で数万円必要になることもあります。

それだけで費用も月額30万円から40万円程度にまで膨らんでしまいます。
一般的な家庭でしたら、毎月介護にそれほど支払える世帯はそれほど多くないのではないでしょうか。



家族がもし認知症と診断され、在宅介護になってしまったら、自分の仕事は続けられますか?

程度の差は人によりますが、それまで通りの生活はできなくなります。家の中で物が散乱したり家族関係が崩壊してしまうこともあり得ます。

認知症の介護をしている家族がうつ病になってしまったり、介護をきっかけに、離婚にまで発展してしまうことも実際にあるわけですから。
また、施設に入所しようとしてもグループホーム(認知症の方が少人数でともに生活をする場)であれば、月額約20万円から25万円の費用がかかりますし、特別養護老人ホームは大田区の場合ですとそもそも入所待機者が約1500名です。

ですから、施設に入所するまでは在宅介護しか方法はありません。
ある在宅の方は徘徊がひどく、川崎まで足を血だらけにしながら歩いていってしまうことがありました。

その度にお巡りさんに保護されるわけですけど、家族関係も大変なことになってしまいますよね。

施設に無事入所できたとしても、入所した途端に症状が急激に進行してしまう場合もあります。自分自身がどこにいるのか分からなくなり、勤務先の息子さんに何度も電話をしてしまい、息子さんは仕事も手につかなくなってしまった。
こうなると本当に家族は介護地獄に陥ってしまいますし、認知症は本人だけでなく介護をする家族関係も一変してしまうことも恐ろしいのです。
明るく認知症時代を乗り切るためにも、早期発見と早期予防が何よりも大切ですし、認知症への理解を一人ひとりが深めていく必要があります。


髙瀬 義昌(たかせ・よしまさ)
信州大学医学部卒業。東京医科大学大学院修了。麻酔科、小児科研修を経て、以来、包括的医療・日本風の家庭医学・家族療法を模索する中、民間病院小児科部長、民間病院院長などを経験。2004年東京都大田区に在宅を中心とした「たかせクリニック」を開業する。現在、認知症のスペシャリストとして厚生労働省推奨事業や東京都・大田区の地域包括ケア、介護関連事業の役員も数多く務め、在宅医療の発展に日々邁進している。
一般社団法人 蒲田医師会 理事、公益社団法人 日米医学医療交流財団専務理事、ITヘルスケア学会 副会長、一般財団法人 杉浦地域医療振興財団 理事、東京都医師会 地域福祉委員会 委員(2011年~)、東京都 認知症対策推進会議 認知症医療部会委員、理事長 医学博士
医療法人社団 至髙会 たかせクリニック
〒146-0092 東京都大田区下丸子1-16-6-1F
電話:03-5732-2525 FAX:03-5732-2526 URL:http://www.takase-cl.org

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